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お稽古について
支度・持ち物

足袋が一足あれば舞台にあがってお稽古ができます。足袋の素材は、化学繊維のものもありますが、綿100%のキャラコやブロード地のものの方が、少し堅いですが履いた時に気持ちが引き締まって良いと思います。
渋谷東急百貨店などの和装売り場で0.5cm刻みで価格は2,000円前後です。サイズが小さい足袋にもこはぜは4枚付いていますから、自分でこはぜを留めることでお稽古を始める前に徐々に心の準備を整える良いトレーニングになります。また、必ず白足袋を履いて舞台にあがってください。土俵と同じく能舞台は神聖な場所ですので白足袋以外の着用は認められません。
発表会では、着物と袴を着用しますが、お稽古の時は足袋とズボンでも大丈夫です。ただ、着物を着用しての所作も必要ですから、通常はゆかたと袴を着用してお稽古を行ないます。男子であれば、下着はパンツのみでゆかたの上に袴を着用します。ゆかたですと、汗をかいてもすぐに洗濯が可能です。
この他に舞扇が1本あると便宜です。my扇ですと開いたり閉じたりの動作が手に馴染みます。

袴・着物

袴は、幼少から小学校入学まで一腰、小学校入学から中学生卒業まで一腰ということで仕立てます。絹100%で価格はお仕立て代含めて数万円〜10万円前後ですが、高校入学までに二腰仕立てるだけです。お稽古にも舞台にも使えます。絹地の衣擦れの音は日本人のDNAを刺激します。背筋もピンと伸び、武士の時代の立居振舞そのままの風情です。幼少時は縞の縦幅が細かく、大人になるに従って大柄な縦縞にすることが多いです。 着物は、幼少から中学卒業まで一枚あれば大丈夫です。幼少時は肩上げ・腰上げをして、体の成長に伴って徐々に上げ幅を減らして行く楽しみがあります。紋をつけて好みの色に染めて絹100%で価格はお仕立て代含めて20万円前後です。着物は明るめの色にして、袴をしっかりとした色にすると顔が引き立てられて全体的に落ち着いた雰囲気になります。舞台では、着物の下に長襦袢を着用しますが、これも肩上げをしますので、着物と同じペースで作成します。 お稽古時のゆかたは2年に一枚位のペースで替えますが、着物・袴は体の大きさにあまり関係なく着用が可能ですのである意味合理的です。お洗濯は専門のクリーニングに出すことで手間もかかりません。舞台でのお稽古ではあまり汚れませんので、発表会の終了時に出すペースです。 本物の着物・袴を使いますので最初には費用は発生しますが、長く続けることで途中ではほとんど費用は発生しません。足袋の替えや肩上げ・腰上げの調整費用程度です。

お稽古
お稽古風景

子どもの場合、幼少時は集中力が続かないことが多いですので、1回あたりのお稽古時間は10分間が限度です。子どもの成長にしたがってお稽古時間は少しずつ長くなります。 1年に一度の発表会の舞台に向けて、1年間で1曲をマスターするペースで進めます。1ヵ月に1、2度お稽古場を訪れて、謡と仕舞を同時にお稽古します。最初は少し、徐々に量を増やして最後は1曲を通してできるようになります。すべて口頭と身振りのまねで稽古します。先生の発音の通り、先生の仕舞の通り、まねをすることで徐々に覚えて行きます。言葉は古い難しい言葉ですので、子どもは意味は全く理解していません。耳からの音と目と手・足からの情報で、謡と仕舞を体で覚えます。 お稽古の最初はゆかたを着用し、袴を着けてもらい、舞扇を手にご挨拶をして、稽古舞台に立ちます。この間10分位で先生と世間話をしながら徐々に先生の世界に入って行きます。初めのご挨拶を済ませると先生と2人で舞台に立ち、お稽古が始まります。最初は先生と一緒に並んでお稽古をしますが、覚えて来ると先生は舞台正面に正座されて張扇を使って拍子を取って囃子と謡を表現します。能楽では、アシライと称して、稽古や申合せ(リハーサル)の際に、小鼓・大鼓・太鼓を扇拍子で間に合わせることがあるのです。1回のお稽古で、1曲を4〜5回繰り返して終わりです。この間親はどうしているか。幼少時はまわりが気になることがありますので、お稽古の最中は別部屋で待機します。小学生になりますと、少し落ち着いて来て、何があっても稽古中は動じなくなりますので、親も見学が許されます。この時親は、謡本を見ながら一緒に覚えます。 お稽古の様子をビデオに撮って自宅で復習するとより効果的です。謡は耳からの情報が全てです。聞いて繰り返すことだけが上達の一歩です。親も含めて口ずさめるようになるとしめたものです。 お稽古のお月謝ですが、1回あたり5,000円です。時間は関係ありません。お稽古終了時に先生にお渡しします。

発表会

発表会の演目は、子どもの希望も取り入れて1年前に決めます。発表会は4月ですから、5月から年内は月に1〜2回のペースでお稽古します。年が明けますとそろそろ本番モードに入り、月に3〜4回のペースになり、3月4月は週2回程度のお稽古となります。4月の本番直前には、東中野の舞台(梅若能楽学院会館)でのお稽古となります。申合せでは囃子方との最後の調整を行います。発表会の費用(お役料)は囃子方・地謡の方の人数などによって異なります。また専門の写真屋さんによる写真とビデオの撮影が行われます。 発表会当日は、自分の出番の2〜3時間前に控え室に行きます。そこで着替えて出待ちをしますが、控え室に鏡付きのお稽古場がありますので、申合せで録音したカセットテープを流して本番前の最後のお稽古をします。発表会はだいたいの場合、予定の時間より早く出番が来ます。心臓がどきどきすることで、すべての動作が早回しになり演目が早く終了してしまうのだそうです。特にお年寄りと子どもは顕著らしいです。前の演目が始まるころ準備を整えて、舞台正面右の鏡板の切り戸の裏にスタンバイします。

お作法
以下のようなことを体験することにより自然とお作法が身に付きます。

・ご挨拶
・正座
・お扇子の扱い
・足袋の履き方
・着物の扱い、着方・たたみ方
・帯の結び方、結ばれ方
・袴の佩き方(着物を着用した後左足から足を通す)
・言葉使い
・お月謝のお渡しのし方
・大人との会話
・落ち着き、間合い
・上下関係、序列