No.14 2001年
「安宅」について

「安宅」といわれて、ピンと来ない方も歌舞伎18番「勧進帳」といわれれば想像がつくものと思われます。能では弁慶と富樫の関での対決に焦点を当てた、たいへん劇的な曲としても知られています。安宅の関は現在の石川県小松市安宅町にあります。

能「安宅」の粗筋
頼朝と不仲になった義経一行は、山伏になりすまし藤原氏を頼って、陸奥の平泉へと落ちていきます。しかし、頼朝の命により国々に新関を作り、ここ安宅にも新関が立っていることを知ります。そこでここを通過する策が練られ、義経を強力(荷を背負って修験者、山伏などに従う下僕)に変装させ、自分たちも東大寺再建のための勧進(社寺や仏像の建立、修理などのために広く人々に、それが善根功徳になると勧めて金品の寄付を募ること。また、その人。)の一行として関を通ろうとします。そこを関守である富樫に止められ、富樫は一人も通さずに全員を斬ると言い放ちます。そこで弁慶達は山伏一行を殺せば天罰が下ると富樫を嚇し、最後の勤行(仏前で時を定めて読経、礼拝、焼香などをする儀式をいう。おつとめ。)を始めると、富樫は本当の山伏ならば勧進帳を読めと迫ります。そこで弁慶は偽りの勧進帳を読み上げると通行を許されますが、強力に扮した義経が見咎められてしまいます。そこで弁慶は、のろのろしているからだと持っていた金剛杖で、激しく叱責します。しかし富樫が許さないと、山伏達は太刀に手をかけて富樫に詰め寄ろうとします。そこを弁慶が金剛杖で必死に押さえます。その勢いに富樫も疑惑を持ちながらも通過を認めます。
関所を離れた所で、義経に弁慶が先ほどの無礼を詫びていると、富樫が酒を持って関所での無礼を詫びに来ます。そこで弁慶は好意の杯を受け、豪快な舞(延年の舞)を舞いながら、一同を先へと出発させて自分も陸奥へと向かって行きます。

登場人物(登場順)
(1)ワキ:富樫某 アイ:関守方ノ供人
(2)子方:源義経 シテ:武蔵坊弁慶
  ツレ:同行の郎党(9人)同山とも言う
  アイ:山伏方ノ強力
作者:観世小次郎信光
典拠:「義経記(ぎけいき)」
季節:2月

特徴及び鑑賞のポイント

能の中でも非常にテンポの速い曲です。
面をつけない直面(ひためん)もの。
曲の構成は、中入りはないが、関所通過前と後で場面が分かれる。
シテの出は、同山とともに現われ、舞台一杯に並び同吟で始まる。
シテとワキの対立の様子や、勧進帳を読む場面、金剛杖で同山一同を押さえつけるところなど迫力ある場面が続く。最後に勇壮な舞を見せるところ等盛りだくさんの能である。
演者によって弁慶の特徴が変わるのもこの曲の見どころの一つ。
能では、安宅「勧進帳」・正尊「起請文」・木曽「願書」と三読物と呼ばれています。

歌舞伎の勧進帳について
歌舞伎18番に数えられている「勧進帳」は、能「安宅」を元に脚色されたものです。
舞台も能舞台写し松の羽目板が使われ、衣装も能装束を模しています。
能の中では、同山は9人ほど登場しますが、歌舞伎では四天王として4名が登場します。
歌舞伎の特徴である六法があり、荒事の飛六法で弁慶が幕入りします。
また、色々な見得もちりばめられていて、歌舞伎の特徴がよくでている作品にもなっています。

新公演会旗揚げ

現在年1回後援会主催にて、招魂を開催しておりますが、その他に梅若靖記氏が舞う機会を持つことを考えているそうです。靖記氏曰く、「場所は、青山の銕仙会舞台或いは、渋谷のホテル内にある今年できた能楽堂(セルリアンタワー能楽堂5月末から稼動)で、もっと若い方にも気軽に来ていただけるように、演能終了後お客様も参加していただける簡単なセミナーなどをひらきたいと思います。また、時間帯は平日の夜で、できれば今年中に第1回を考えています。ご期待ください。」

後援会の活動について

後援会の活動を活性化するために、新たに世話人会の発足を考えております。詳しいことは、次号でお知らせできると思います。お手伝い願いたい方に、靖記氏がお声掛けを致すこともあるとは思いますが、その折には、何卒宜しくお願い致します。

初舞台のお話


この4月14日(土)に、梅若靖記氏のお弟子さんが、日頃のお稽古の成果を発表する発表会が、梅若能楽学院会館にて開催されます。
その中で、お弟子さん最年少である廣松亮祐君(5歳)が、仕舞「老松」で初舞台を踏みます。現在、お稽古に励んでいるところです。紋付袴に、身を包んだ亮祐君がどんな舞台を見せてくれるか楽しみです。先日亮祐君の頼んだ紋付袴ができてきました。着てみるとたいへんよく似合って本人もお気に召したようです。
ほかに靖記氏の甥3人が、一緒に仕舞にて初舞台を踏みます。島田昌俊君(9歳)、島田昌紘君(7歳)、島田昌隆君(4歳)です。曲目は昌俊君が「猩々」昌紘君が「絃上」昌隆君が「盛久」をつとめます。昌俊君と昌紘君は、去年の10月に日比谷シティ夜能において、「鞍馬天狗」の花見子で、一度舞台をつとめましたが仕舞は初めてです。現在お稽古の回数も増えて、仕上げの段階に入ってまいりました。
なかなか4人の子供が、一度に仕舞で出ることは、珍しいこととなります。きっとかわいらしいことでしょう。
昌紘君は、着物を着られることを楽しみにしているそうです。(七五三以来気に入っているらしい。)昌隆君は、何もかも初めてで、とってもハリキッテいます。
彼らの出番は、14:00過ぎ頃です。この会は、どなたでもお入りになれますので、彼らの勇姿を是非見てあげてください。たくさんのご入場歓迎いたします。

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