No.17 2002年
XX病院第一手術室より
梅若靖記

2002年5月24日朝9時30分私は、大井町のとある病院の手術室にいます。数分前腰に麻酔を打たれ、どんどん下半身の感覚が無くなっていきます。先生がよく冷えたペットボトルのようなものを持って、「冷たさ感じますか?」と体に当てますが、もうほとんど感じなくなってきました。息が苦しくなってきました。
私:「先生!息が吸えません。」
先生:「大丈夫ですよぉ。ゆっくり胸で吸ってみてください。」
あー吸えた。私は普段腹式呼吸をしているので、麻酔のせいでおなかに力が入らず、息が深く吸えなかったのです。
手には血圧計・点滴、体には心電図の電極。(あー。テレビで見ているのと一緒だ。)
お腹のあたりに目隠しがかけられ、いよいよ。
看護婦:「先生血圧が××です。」
先生: 「ちょっと低すぎるな。×× ○○cc点滴」
(おい!大丈夫かー?)
(電話のベル)
「第2手術室ですが、ガーゼがたりないんですが、そちらにありませんか?」
看護婦:「こっちもあまり無いですよ。」
ハンズフリーなのか、全部聞こえてしまいます。
(今から大手術なんだから、余計な電話してくるなよな。俺は緊張しているんだから、みんなもっと集中してくれよな。)
 何の手術をしようとしているのか?まだお話していませんでしたね。実は今年の3月頃から私の足の甲のあたりが、少しずつ成長し始めたのです。まぁ座りだこか何かだと思っていると、4月に入りますます大きくなってきました。4月12日にアウディジャパンの新社屋のお披露目パーティがあり、「石橋」を、2回ほど勤めさせて頂いたのですが、無惨にも足の甲を何回も打ち付けることになり、ついに足のデキモノは、ゴルフボール大に腫れ上がってしまいました。痛いし、足袋が履けない。
 ところで、話は全然別なのですが、アウディ東京の社長さんに「梅若さん、まさかパーティの日にBMWでは来ませんよね!」と言われ、車アウディに変えました。とてもいい車です。もし、アウディかホルクスワーゲンご用命の節には、ご紹介しますので。
 話を元に戻しましょう。
これは一大事。近くの知り合いの整形外科医に行くと、先生は首を傾げながら「梅若さん、これ一度病院で診てもらった方がいいですよ.」と言われてしまいました。
先生:「時間があるときご連絡ください。××病院の予約を取りますから。」
私 :「ハイ。連休明けにでもお願いします。」
私の足のゴルフボールはそのままに医院を後にしました。ところが、翌日夕方5時35分私の携帯が鳴りました。(あ、銀座の○○ちゃん、六本木の○×ちゃんかな。同伴のお誘いかな?)心弾ませながら電話にでると、昨日のA先生からでした。
先生:「梅若さんね、ちょっと気になるので、明日の10時半に××病院の整形部長さんの予約取ったんだけど、行けませんかね?」と言われてしまえば、仕事どころじゃない。「行きます。」と元気なく答えてしまいました。(気になるって、もしや・・・のこと?)
 翌日、重い心と変なデキモノのゴルフボールの足を引きずって、大井町の××病院へ行きました。CTと血液検査をして部長先生の診察を受けました。またもや先生は首を傾げながら、「切った方がいいですね。」
私:「でも先生、白血球値m、炎症値も高くないですよね。それにCTを見ると、境目がはっきりしていますよね。でも、悪性の可能性あるんですか?」
先生:「君は詳しいので、隠してもしょうがないからはっきり言うけど、これは腫瘍の可能性が高いので、腫瘍である以上癌の可能性もないとは、言えない。後は切って細胞検査をしてみないとわからない。」「次はMRIを撮って一週間後に手術担当のB先生の診察を受けてください。B先生は、この病院で最も手術の上手い先生ですから安心してください。」
 後日手術の上手いB先生の診察を受けました。MRIを見ながら、またも先生は首を傾げ、
先生:「悪いものではないと思うけど切った方がいいですね。」
私:「入院して切るんですか?」
先生:「一応、下半身麻酔を掛けるので入院してください。経過がよければ3日で退院できますので、心配はいりません。」ふと先生の書いているカルテを見ると『病理検査の必要あり、悪性腫瘍の場合は再手術及び再加療が必要。』と書いてある。(おいおい、怖いこと書いている。)
先生:「はい、23日入院、24日9時手術ですので、手続きして帰って下さい。」あくまで笑顔でおっしゃいました。
 と、いう理由で入院をして、今まさに手術の上手いB先生のメスが、私の足のゴルフボールを切ろうとしているのです。痛くもないし痒くもないけれど、足の甲の所を何かで、なでたような感覚。今きっと皮膚を切っているんだ。次は何かを掻き出している。きっとデキモノをはがしているんだ。その時またしても電話。
「△△先生、そっちへ行ってませんか?」「居ませんよ。」
(今、俺の大事な足の大手術の途中なんだから!そんな電話してくるなよな。)
(あ、何かチクチクしている。きっと縫っているんだ。)
先生:「はい、梅若さん、こんなものが出てきました。病理検査に出しますね。」プリンのような美味しそうなものが出てきました。
 午前10時10分梅若靖記、只今、手術室より無事生還しました。実は昨晩心配のあまり血圧が、上200、下100まで上がってしまう程でした。2週間後無事抜糸も済み、細胞検査の結果も白。やったぁー!
 手術して下さった先生がお上手だったのでしょう。麻酔が切れても、全然痛みもなく、翌日から歩けました。現在はすっかり元どおりになりました。只しばらく一緒にいた、わけのわからないゴルフボールのデキモノが無くなり、ちょっぴり淋しい毎日を送っております。
 あくまで笑顔で、私を脅してくださった3人の先生、またとっても若くて優しくてチャーミングな看護婦さん(主観ですが、美人でなかったのが残念)本当にありがとうございました。

梅若靖記講演に招かれる

2002年3月12日
本日の卓話「楽しい能の勧め」
主催:東京西南ロータリークラブ  於 ホテルニューオータニ


去る3月12日、上記のテーマで装束や面をお見せしながら、「能を楽しく見る方法」として、
   ストーリーだけは頭に入れておくこと。
   シテはあの世の人、ワキはこの世の人。
   間狂言は、しゃべり言葉。
   能のストーリーは、ハッピーエンドが多い。
   能舞台の松があるのは。
   能はもともと神ごと。
   「翁」が能の起源。
このような流れで、お話をさせていただきました。これをきっかけに、少しでも能に興味を持っていただけるとうれしいのですが。
ご用命があれば、講演等承ります。

梅若靖記「石橋」を舞う

2002年4月12日
アウディジャパン 本社新社屋ビル完成

東京都世田谷区尾山台の環状8号線沿いに、アウディジャパンの本社ビルがオープンしました。そのオープニングにあたり、「石橋」を勤めさせていただきました。ガラス張りの安藤忠雄氏の設計による近代的なショールームと本社を兼ねたビルで、ひときわ目立つポイントとなっています。
アウディのコンセプトは「伝統と革新」だそうです。伝統芸能として、現代にも生きている「能」を選択していただきました。
車のショールーム及び本社屋のオープニングとしては、たいへん珍しい構成となっていて、ちょっとした衝撃を与えたそうです。
このようなオープニングに能を舞うことが出来て、たいへん光栄なことと思っております。

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